コラム

2. ヘルスケアの投資ファンドの現状

※下記コラムは2016年~2017年当時、株式会社玄海インベストメントアドバイザー在職時に公開していたものです。記事中の制度内容や統計数値等は当時情報のままですので、現在とは異なる場合があります。


昨今、ヘルスケアリートの三社が上場し、にわかに本業界に注目が集まりました。各種メディアでヘルスケアリートの特集が組まれたのは記憶に新しいはずです。

時を前後して老人ホームの取得競争が過熱し、利回りの低下に拍車が掛かりました。現在でも、無届ホームが仲介市場に出回る程、売り手市場の状況は変わりません。建築費の高騰も影響し、投資目線に合致する物件取得は一層困難な時代となりました。

 

ヘルスケア物件の売買ニーズを双方の立場で考えると、優良な投資先を探している国内外の投資家は多数存在するものの、老人ホーム事業者は非常に冷ややかで両者の温度差をはっきりと感じます。そもそも老人ホーム業界では不動産所有者は個人オーナーが多く、彼らは相続税対策の目的で所有しているケースが多いため、あえて資産を手放す理由に乏しいと言えます。

一方、現在のリートが保有している物件は「上場企業」「人口集中地区」「介護付」というように、一定の条件をクリアした厳選されたホームが中心です。これは我が国で供給されている要介護者向けホーム約160万戸に対して、僅か0.3%しか該当しません。そのほかは私募ファンド等で保有されている物件もありますが、これらを含めても売買の対象となっているのは、ごく一握りのホームです。

 

今後、本セクターの成長のためには、世間のファンド活用に対する理解が浸透し、ニーズの裾野が広がっていく必要があります。不動産・金融サイドは優良な市場形成の牽引役として、一層の努力が求められるでしょう。

本サイトでは、その一助となるべく運営事業者の方に向けて、介護業界の情報を発信していきます。

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