5. 高齢者住宅に向いた土地とは
※下記コラムは2016年~2017年当時、株式会社玄海インベストメントアドバイザー在職時に公開していたものです。記事中の制度内容や統計数値等は当時情報のままですので、現在とは異なる場合があります。
土地の有活としては、やはり商業施設や分譲マンション等が事業検討の筆頭に上がります。「この立地で使い物になるかどうか」という場合に、第3候補、第4候補あたりのヘルスケアがやっと俎上に載ってくるのが一般的ではないでしょうか。
とは言え、近年は駅前立地の利便性の高いホームが多数出てきました。通常であれば、商業系の複合施設が建設されてもおかしくない場所に、有料老人ホームやサ高住が建設されるケースは珍しくありません。特に自立型ホームは、一般住宅と同様に都心回帰が進んでいるように感じます。
都市型立地、住宅地のそれぞれで立地環境のメリットがあります。
私がこの業界に入った当時、見学先の老人ホームで機会があれば入居者に対して「何がしたいですか」とお聞きしていました。
回答で一番多かったのは「外に出たい」です。こんな回答をぶつけてくれる人はホームの中でも元気が良い方で、重度になるとそんな気も起きなくなります。一方で、ホームが最も人手が取られるのが外出支援です。初詣やお花見等のイベントに興じて年に数回の外出イベントを行っているホームが一般的です。
入居者が自身で外出ができる状態であれば、近くにコンビニ等の買物ができる施設があると、毎日の外出のきっかけとなります。住宅地の場合は身近に商店が無いケースもありますが、その場合は散歩ができる公園があれば便利でしょう。
それ以前に、そもそも近年の建築費や地価の高騰を考えると「郊外立地」「最寄り駅から遠隔地」でないと収支が合わないという事業性の問題もあります。月払方式の利用料が主流の今、なかなか都心部に開設することは難しいようです。
また、業界では「場所の説明がしやすい」=「目立つ建物が近くにある」「幹線道路から近い」というのも好立地条件の一つと言われてきました。最近はカーナビやスマホでGIS機能が充実したツールが身近に浸透しているので、昔ほど拘らなくても良いかもしれません。