コラム

15. 埼玉県 サ高住の入居状況

※下記コラムは2016年~2017年当時、株式会社玄海インベストメントアドバイザー在職時に公開していたものです。記事中の制度内容や統計数値等は当時情報のままですので、現在とは異なる場合があります。


以前のコラムで触れたとおり、有料老人ホームに該当するサ高住は、有料老人ホームの重要事項説明書(以下、重説)と同等のフォーマットを使用する事に改められました。

有料老人ホームは、例年7月に所轄の行政庁に直近の重説を提出していますが、これら情報をホームページで公開する自治体が増えています。一都三県では、埼玉県が他県に先駆けてサ高住の情報開示一覧表並びに重要事項説明書をホームページで公開しています。

 

下グラフは埼玉県のホームページで情報開示を行っているサ高住の内、2015年までに竣工している141ヶ所のホームの入居状況をまとめたものです。

入居率の全体平均は82.5%、9割以上の高稼働に達しているホームが全体の半数を占める結果となりました。いわゆる安定稼働の目安となる8割稼働のホームを加えると全体の7割にも及ぶことから、本データだけを見れば世間で言われるほど「サ高住の入居率低迷」は深刻に感じません。

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また、規模別で見ると入居率が50%未満の層が最も多いのは30戸未満の小規模ホームでした。母数が小さいため、僅かな入居数差が入居率に影響してしまう要因も考えられますが、30~50戸の層と比べて10ポイント以上の開きが生じています。小規模ホームの場合、利用者一人あたりの営業費が高くなるため、スケールメリットが活かせる中規模ホームと比べて営業活動に割けるマンパワーやお金が限られてくるというハンデがあります。この辺りも集客に影響しているかも知れません。

 

利用料の点では、高額な前払金を設定しているホームは無いので月額費での比較となりますが、入居率50%未満のホームの月額総額は20万円弱と有料老人ホーム並みの高額設定と分かりました。50%以上のホームの平均は概ね15万円弱なので、月額で5万円程度の金額差が生じています。このように、利用料の設定が入居率に影響した可能性はあるでしょう。

いずれにしても、近年はサ高住の新設数が鈍化したとは言え、毎年競合ホームが増えていくことを考えると、1~2年で安定稼働の8割維持を目標としたいところです。

 

 

 

 

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