コラム

18. 有料老人ホームの料金負担 <約3割が家族からの援助>

※下記コラムは2016年~2017年当時、株式会社玄海インベストメントアドバイザー在職時に公開していたものです。記事中の制度内容や統計数値等は当時情報のままですので、現在とは異なる場合があります。


今月、老人ホームポータルサイトの最大手「LIFULL介護」が独自に行ったアンケート結果が公開されました。

「有料老人ホームの初期費用、月額費は誰が負担したか」という内容です。

結果は、初期費用については61%が入居者本人、19%が一部を家族が負担、11%が家族による全額負担という構成。

月額費の場合は、56%が入居者負担、21%が一部を家族負担、6%が全額家族負担でした。

 

初期費用については近年の一時金低廉化の流れや、高齢者世帯の預貯金額から入居者負担の割合がもっと高いと思われましたが、本調査では6割に留まりました。地方では一時金ゼロの月払い方式が主流ですが、都内ではまだ一時金方式を採用するホームが多数存在しており、調査エリア(首都圏・京阪神)の地域性が反映された結果かも知れません。

 

また、かねてより入居阻害要因の一つと言われているが月額費の負担です。近年、介護保険の自己負担率が所得によって2割に引き上げられ、次期改定では3割負担が導入されます。入居検討者にとっては、こうした自己負担増も、入居後の費用負担として覚悟しておかなければなりません。

 

近年の高齢者実態調査等では、親世代の「将来、子供に迷惑をかけたくない」という層が増えているにも関わらず、冒頭の老人ホーム入居者の約3割が家族の経済援助(一部支援含む)がなければ入居できないという結果は深刻です。経済援助ができない家族は「家族介護」=「介護離職」の選択を迫られる事態も想定されるからです。

 

高齢者住宅を自宅に次ぐ「老後の住まい」として引き上げるには、こうした家族からの経済援助を補完する補助制度やスキームづくりが急務と言えるでしょう。

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