【失敗しない老人ホームの選び方 】Ⅰ.はじめに
介護離職を防ぐ手段として、
老人ホームへの入居は選択肢のひとつです。
「週に1回、近所のデイサービスを利用している」
「最近、物忘れが多くなった」
このような場合に、介護離職をするケースは考えられません。
介護離職の問題が深刻化するのは、幾つかの条件が重なった場合です。
・認知症による徘徊が目立つようになった。
・要介護度は3程度。排泄、食事等の場面で常に介助が必要。
・日中は独りで生活しており、何かあったら不安。
・親が知らない人や外部の介護者を受け入れようとしない。
・周囲の視線。親の面倒を見るのが当たり前と言われる。
このような状態の中、介護者が仕事を捨て、自身の全ての生活を介護に費やす事は大きなリスクが伴います。介護者の4人に1人がうつ状態と言われているように、大きな犠牲を伴う事を覚悟しておかなければなりません。
・経済的リスク(収入、年金減)
・身体的/精神的リスク(腰痛、うつ病等)
・社会的リスク(社会隔離、復職困難等)
現在、国は「地域包括ケア」に向けて大きく舵を切っています。
身近な地域資源を利用して、地域の中で介護を受け続けられる事を想定していますが、それは「全て自宅で介護をする」「自宅で亡くなる」事を我々に課しているわけではありません。
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本書は、主に家族の方向けに、介護者と要介護者がお互いの生活を守るために「老人ホームへの住み替え」を提案するものです。
老人ホームを利用することに、負い目を感じることはありません。
その替わり、納得のいく良いホームを見つけてあげましょう。
そして、毎週のようにホームを訪ねてはどうでしょう。折に触れて手紙や電話も欠かせません。
親と子が離れて暮らす事で、お互いの立場や現在の生活を尊重できるやり方も是非検討してみて下さい。