コラム

【失敗しない老人ホームの選び方】Ⅲ.入居してから後悔しないために (3)共用施設

3)共用施設

エントランスでホームの印象が決まる

会社、施設、住宅に限らず、エントランスはその建物の顔として、住まう側の人間のイメージを強く印象付けます。

老人ホームも同様です。エントランスが乱雑で介護用品のダンボールが平積みされているようなホームは感心しません。UFOキャッチャーで取った人形や明らかに個人の趣味と思われるキャラクターのぬいぐるみがゴチャゴチャと飾られているエントランスを見ると、それだけで帰りたくなります。中には、わざわざエントランスに「同業者の見学お断り」の大きな張り紙を掲示しているホームもありました(閉鎖的なホームという印象)。

誰もが利用する共有物のエントランスとして、清潔感のある佇まいが意識されているかどうか。この点が欠けているホームは、全体の建物管理に対しても不安は拭えません。

 

介護の質はダイニング、浴室を見れば分かる

ホームの介護力を測るなら、ダイニング、浴室を見る事です。

整然としたダイニングが必ずしも良いとは限りません。ダイニングの様子・雰囲気を見ることで、ホームが食事に対して注意を払っているかを知ることが出来ます。

例えば、腰が引けたり、後傾姿勢では正しい食事はできません。

関西のあるホームでは、椅子に腰周りに添えるクッションや、足がぶらつかない様に台座を設置。杖歩行のために、テーブルにはあらかじめステッキフックも添えられています。ダイニングのキッチンスペースには、個人の補助具が多数収納され、自身でできるだけ食事が食べられるような前向きな取組みが感じられます。

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老人ホームの浴槽は、一般的に「個浴」「リフト浴」「チェアインバス」「寝台浴」に分かれます。「個浴」は浴槽の両サイドにトランスボードが設置され、比較的自立度の高い人が利用する介護浴槽です。「リフト浴」は近年最も増えているケースで、浴槽の跨ぎが出来ない人向けに座面が上下することで、座ったまま浴槽につかる事が出来ます。「チェアインバス」はもっと大掛かりで最初から椅子に座った状態で、浴槽と合体する形態、「寝台浴」は寝たままの状態で上下左右から出る温水シャワーで洗浄します。

 

入浴介助は介助者のスキルが問われるため、経験値が浅い介助者や介助時の事故リスクを過分に見るホームは、より機械化された浴槽を使う傾向にあります。

ALSのような四肢麻痺のケースでは座位が保持できないため、通常の入浴手順では対応できないケースはありますが、通常は「リフト浴」で対応できるケースがほとんどです。

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