【失敗しない老人ホームの選び方】Ⅲ.入居してから後悔しないために (5)介護1/2
5)介護
介護付は「3:1以上」の基準人員ではギリギリの運営
介護付は入居者3人に対して1人の介護者が最低基準として定められています(「3:1以上」という表記)。週40時間勤務のスタッフ数が母数となりますが、夜勤帯の人員配置も含めた数なので、実際の日中の配置数は以外に少なく感じます。
介護付は基準上、「3:1以上」「2.5:1以上」「2.0:1以上」「1.5:1以上」のいずれかを標榜することが求められますが、標榜上「3:1以上」としているものの、実際にはより手厚い体制を敷いている事が多いです。重要事項説明書に記載している数値と異なるケースもあるので、現状の配置数を確認して方が良いでしょう。
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介護付の平均要介護度は2.5程度ですが、例えば3以上の重度要介護者の割合が高いホームにも関わらず、人員比率が手薄のホームは介護の質に注意した方が良さそうです。
例えば入居者の介護度が上昇して移動介助のニーズが増えると、廃用症候群とならないようベッドから離床してもらいます。また、車椅子を使用している人が食事をする場合は、本来は車椅子に座ったままではなく、一旦、きちんと座卓に座り直して正しい食事体制がとれるようにします。あるいは、寝返りが難しくなった人には褥瘡の防止のために、分圧のマットを使用したり、血流をよくするためにはマッサージも必要です。認知症高齢者で徘徊や暴力行為等が見られるようになると、個別ケアに相当な時間をとられてしまいます。
このように、本来であれば要介護度の上昇に伴い、より多くの介助者の手が掛かって当然ですが、運営の効率化の名の下、入居者をベッドに寝かせきり(座らせきり)にしているホームが存在することも現実です。
平均要介護度や人員配置のヒアリングを行うことで、このホームの介護方針や取組みを察することができます。なお、特養の人員配置は平成26年の統計で多少室がスタッフ1名に対して利用者2.0人、ユニット型個室の場合は1.6人と手厚い体制が敷かれています。
>>余裕があったら読んで欲しいプロの解説
前項のいわゆる「3:1」の人員基準のイメージがつくでしょうか。
下表は介護付で「3:1以上」の人員体制をイメージしたシフト表です。総戸数50戸で1Fが10戸、2~3Fが各20戸の想定です。左表は常勤換算の計算ですが、3に限りなく近い2.97となりました。右表はスタッフのシフトイメージです。3食毎に配膳や食事介助が必要なるため、早番、中番(日勤)、遅番で時間帯をずらしたシフトを組むのが通例です。
例えば朝食時には5人のスタッフが常駐していますが、3フロアに別れているとすると、1Fは10人の入居者に対して1人の介護者、2~3Fは各20人に対して2人の介護者で対応しなくてはならない計算です。このようにホーム全体としては相当数のスタッフがいるように感じますが、フロア単位だとスタッフ2人体制なので、実人数は非常に少なく感じませんか。
「3:1」の配置はこの程度の人員配置だとあらかじめ理解しておいた方が良いでしょう。